貧困な映画、映画の貧困

 昨年は映画の当たり年で、そのイキオイは今年に入っても続いているようだ。「千と千尋の神隠し」という怪物作品は別格として、どうしも解せなかったのが、「パール・ハーバー」だとか「A.I.」のようなクズとしか言いようがない作品ですら客が入ったということだ。
 しかし、感心するというか呆れるのは、ここ数年のハリウッド映画にはロクなものがないという事だ。
 上記の2本が象徴的なのだが、CGを使った映像は凄いのだが、お話、というか台本がまったくダメとしか言いようがなくて、つまらなくて辻褄もあわず、考証はデタラメで御都合主義で登場人物に深みがないという作品ばかりではないか。
 ちっとは期待した「ハンニバル」は最後のほうで「頭がぱかっと取られて脳みそが露出してそれを料理する」というのが最大の見せ場の退屈なグロ映画でしかなくて、傑作「羊たちの沈黙」の続編と名乗るのも恥ずかしいようなできだった。「ハンニバル」はリドリー・スコットの映画だったがこの人は最近「ブラックホークダウン」でまたもやヘタを打ってしまったのが悲しい。
 あと、例を挙げるときりがないので止めるけれども、要は予算をかけてCGを贅沢に使っても脚本がダメならそれまでなのだ。
 どんなに凄いCGでも、ジャッキー・チェンの身体を張ったアクションの前では霞んでしまうではないか。

 映画が儲かるビジネス、投資の対象となって、野心作、問題作と呼べるものが減り、おまけに企画も枯渇して貧困きわまりない。色んな国の映画の権利を買ってリメイクしたりしてるのがその例だ。あと、マンガの映画化が目立つのも妙だ。
 ハリウッド映画は貧困である。映像技術はめざましく進歩したと言うのに、その精神はからっぽだ。
 このままでは、ハリウッド映画というものは「スクリーンで見るアトラクション」化が進む一方である。

 合衆国では「スターウォーズ/エピソード2」が公開されて、学校や会社をさぼって映画館に駆けつけるばかで賑わっているというが、私はあんまり見る気がしない。だって、「エピソード1」がものすごくつまらなかったから。
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