ブラックホークダウン

 戦争映画は、でかいスクリーン、音響の良い劇場がいいと思うので、新宿プラザに出かけてみた。コマ劇場に行列ができていたが、それは「つんく音楽プロデュース・新演歌の花道」目当ての客だった。

 さて、ゲンさんおすすめの「ブラックホークダウン」である。
 1993年の10月、アフリカにあるソマリアの首都・モガディシオ。ソマリアを牛耳るアイディード将軍の本拠地を襲撃しに行った米特殊部隊が、逆に地元武装勢力に包囲され、19人の米兵と、500から1000人がソマリア人が殺された。この戦闘を描いた映画である。
 1時間で帰ってこれるはずの作戦行動は失敗して米兵は数千の民兵によって包囲される。その中にカメラを置いて、米兵の視点から見た過酷な戦闘の様子をリアルに描いている。戦闘の混乱ぶりそのままに、途中から役者の区別がつかなくなって、誰がどう負傷したかもよくわからないが、そんなことはどうでもいいくらい、次また次の銃撃、爆発、銃撃にヘリ<ブラック・ホーク>墜落である。ただ、視点はあくまでも米兵なのでソマリア人民兵は大昔の西部劇のインディアンか未開の土人みたいにただただやられていくというところがいささか気になった。

 この映画にはストーリーはないといっていい。
  監督・リドリー・スコットはたぶん反戦というスタンスだが、旗色を鮮明にしていない。おそらくリドリーは、観客に向かって「この映画をどう解釈しますか?」と問いかけているのではないかと思う。
 プロデューサーは「アルマゲドン」「パール・ハーバー」と立続けに空虚な大作を作ったジェリー・ブラッカイマーであるが、こいつはアメリカ万歳野郎で、こいつがねじこもうという「愛国的な描写」をリドリーが抵抗して外したのではないかという気がするのである。最後の方に救出に戻るために飯を食いながらデルタ・フォース隊員がこう言う。「俺は仲間を助けるために戦っているんだ」。
 この映画をブッシュも見ているのだが、見終わった後、リドリーに向かって「愛国心のある映画だ」と称えたのだそうだ。リドリーは「愚かな大統領だ」と感想を述べている。

 私の感想は、なんだか、「戦争のテーマパーク」みたいだな、というものだ。迫力はあったけれども、何も残らない、空虚さが感じられる。エンターテインメントになっていれば救われるだろうが、そうでもなかった。
 戦闘の怖さということであれば、キューブリックが撮った「フルメタルジャケット」に遠く及ばないと思う。
 以上記したのはあくまでも私の感想である。ほかの人が観たら、まったく異なる感想を持つのが当たり前である。
 見て損はない映画なので、未見の方はお早めに映画館に。

 参考サイト
 http://www.bhd93.com/

 http://tanakanews.com/b1224somalia.htm
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