初恋の人に逢わない理由

 昨日、同窓会に出ない理由として、もしかしたら昔好きだった女の子の現在の姿を見たくはないという気持ちがどこかにあるのかもしれない・・・ということを書いた。
 初恋なんて書くとこそばゆいのだけれども、そこには手痛い思い出があった。目がぱっちりしてて快活な女の子に一目惚れしたのは中学1年で、2年に上がるちょっと前くらいに告白の手紙を書いて渡したらその場で「お断りします」と手紙を突き返されて、片思いはあっけなく終わったのである。それを機に、ブオトコとしての領分をわきまえて勉学に勤しんだ。

 7、8年経った頃、彼女は結婚した。相手は幼稚園の頃から知っている私の幼なじみだった男だ。
 むろん、私は幸福を祈らずにはいられなかった。
 幼なじみと私の父親どうしは同級生、母親どうしは仲のよい茶のみ友だちだった。だから、家庭の内状はたがいによく知っていた。その後、私はかれと私の初恋の彼女とが過ごした過酷な変転をつぶさに知ることになる。

 彼女の夫は自営で不動産業を営み、ほんのわずかの間、成功してたいそう羽振りが良かった。美食が過ぎて体重は中学の頃の倍以上にふくらんだ。女も作った。
 しかしほどなく事業は失敗し廃業して莫大な借財のみが残った。
 それがもとでかれと彼女は不和になっていく。かれは再就職を試みるもののなかなか定職に就かず、借財もさらに膨れた。でありながら他所に女を作ってなかなか家庭を顧みなかった。
 二人の間には、3人の子供がいた。彼女はたいへんな重圧にさらされて、やがて神経を病んでいった。彼女は家計を助けるために働きにも出たのだが、たびたび癇癪を起したり、ひどくふさぎ込んだりして、仕事が長続きすることはなかった。彼女の年老いた両親が傷ついた娘と、孫達を引き取った。
 その後、かれと彼女は離婚した。
 彼女の精神が快方に向かったと言う話は、まだ聞かない。

 初恋なんてものは思い出の中にしまっておいて、あとは触れないほうがいいのだ。
 そう思う。
SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO