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ちょっとうれしかったこと。 |
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| 引っ越しを検討中の私と妻は、これから引っ越す候補の街を歩いて気に入るか気に入らないかを確かめることに決めたのである。 街の雰囲気が合うかどうか。これは重要である。 例えば、私は成城学園前に降り立って３０分ほど街を歩いていると金に困っていないようなジョーヒンな人々の上品菌みたいなものに耐性がないので、呼吸困難になり、慌てて駅に戻って新御茶ノ水あたりまで退却するのである。 私は東京の西エリアが苦手なのである。 前々から気になっていた京浜東北線・王子の駅に降り立った。桜の名所、飛鳥山公園のあたりを歩き、次に商店街を冷やかしてみる。駅近くに「麺屋・みの麺多」というお店を見つけて、あまりのベタさに驚いて都電に挽かれそうになった。その隣は中国食品店とインド料理店であった。（この界隈は中国食材の店とインド料理の店がけっこう多い） ゆっくりと歩き出して、北本通りに沿って東十条をめざした。不動産を見つけるたびに貼り紙をチェックして相場を確かめる。私たちの条件にはぴったりである。 東十条には長い商店街があり、楽しい。ごちゃごちゃしている感じが、実にいい。現在暮らしているところは再開発で作られた区画で、きれいだけれども何もなく、さびしい。次は、できればごちゃごちゃした商店街があるところに住みたい、と思っている。いろんな種類のお惣菜を買えたり、自家製漬け物が買えたりしたらありがたい。さらに古本屋があり、定食屋があり、せんべい屋があり、昔ながらの喫茶店もあるとうれしい。 王子から東十条にかけて歩いて、かなり気に入った。 歩き疲れてお腹も空いたので、ラーメンでも食べようということになった。東十条駅に面した、新しいラーメン屋に入った。10席もないカウンタだけの店だが、勘がはたらいた。入ると店内も厨房もとても清潔で、店員のひとのあいさつも元気で気持ちよかった。 ほんの数分で出てきたラーメンは、旨かった。 いい気分になった。いい街だと思った。 もひとつ、このお店は若い夫婦者が営んでいると思うのだけれど、奥さんが楚々とした美人だった。 それでますますいい気分になった。 |
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