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書棚を整理していると、昔買ったソフトウェアが出てきた。
「T-Time」という、テキストビューワである。プレーンテキストファイルや、テキスト主体のウェブページを読むためのツールだ。
セールスポイントは、明朝体・縦書きで読めることである。
今から4年前に買った。その頃は、パソコンの普及にともなう「電子書籍」の可能性がネットや雑誌で論議されていた。
いわく、書籍は電子化されて、パソコンやPDAで読むようになる。読者はインターネットで書籍をダウンロードして購入し、電子決済で代金を支払うようになるだろう。
電子書籍のフォーマットがいくつか提案され、そのためのビューワも多くはフリーウェアの形で提供された。
4年たったいま、予測はものの見事に外れている。たくさん提唱されたフォーマットも、adobeが提案したPDF(Portable Digital File)だけが生き残っているだけだ。あとは細々と営まれる電子書籍サイトの、いわばローカルなフォーマットが少しある程度だ。
「電子書籍」を読んでいるという人は、あまり多くはないと思う。
そう。「電子書籍」を喜ぶ人は多くない。それどころか、書籍じたい読み手がどんどん減って、作家という商売は構造不況業種になってしまった。ごく一部の突出したベストセラーはあっても、読書人口じたいが減っている。あるいは、「ブックオフ」のような中古書店から本を調達したり、図書館で新刊を借りたりしている。
「T-Time」を発売した株式会社ボイジャーも、すでに潰れてしまった。かくてこのツールは遺物と化したのである。ここの社長は「マルチメディアの可能性」を盛んに語っていたが、今はどうしているのだろう。
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