私と映画

 幼稚園の頃、親父に連れられて映画を観にいった。それは夏休みのことで、「東映まんがまつり」と「東宝チャンピオンまつり」を一緒に上映している映画館(わたしの田舎の邦画封切館は東映と東宝の両方の映画がかかっていたのであります)に出かけたのである。
 その日、私はキモチが悪かった。おまけにその映画館は昔の事もあってエアコンなどなく、暑かった。「南海の大決闘」と「緯度ゼロ」あたりはもちこたえたものの、私は「ゲゲゲの鬼太郎・大海獣」という映画が始まるや否や泣き出した。すごく気分が悪くなったのだ。父親はたいそう怒ったが、すぐに映画館を出てタクシーを拾い、病院に連れていってくれた。その道すがら、父親は、声を荒げておまえはもう2度と映画に連れていかないからな、と言った。
 発熱していて、熱を下げる注射を打たれてまた泣いた。
 それ以来、数年間映画館には連れていってもらえなかった。
 映画というと父親の怒ったさまと小便くさい映画館の暗闇を連想し、それで映画が嫌いになった。その代わり、本を読んだ。
 こういった経緯があって、私は私の世代にけっこう多い、怪獣映画へのノスタルジーを持ち得ないのだった。
SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO